初めての某 ~後編~
<今回は前回の続きですので、初めてご覧になる方はコチラ からどうぞ>
今日、近畿地方が梅雨明けとなりました。これから日差しがキッツイ毎日が始まるのですね・・・・。
今年こそは一つくらい夏らしい事をしようかと思うのですが、軟弱さが足を引っ張っています。
皆さん、こんばんは。肩から手にかけて日焼けでツートンカラーとなっているピザ職人です。(大失敗)
さて、3900円と言い満足気な発言をした事故相手の男。
どうにかして、死去した僕のズボン様の代金くらいは引き出さねばなりません。
しかし、どうにもこうにもお金がないといわれれば、決め手が思い浮かびません。
とりあえず、3900円のズボンはいらないので、返却の意を伝える事にしました。
僕 : 「こんなズボンいらんから、ちゃんとお金払って下さい。」
男 : 「ええっ?いらないんですか?いや、これはせっかく買ってきたんでもらって下さい。」
僕 : 「それは余計なお世話というヤツですよ。いりませんって。」
男 : 「いや、返されても困るので、もらって下さいよ」
僕 : 「もらっても困るのでいりません。」
男 : 「これは僕の気持ちです。もらって下さい」
(オマエの気持ちは3900円か)
押しに弱い僕は、もらってしまいました。(あっさり)
しかし、こんな事でごまかされたのではたまったものではありません。さらに言及することにしました。
僕 : 「これで弁償を免れれると思わないで下さいよ。ちゃんと払ってもらいますからね。」
男 : 「・・・・・・・わかりました。じゃあついてきてください。」(とても暗い顔で)
とうとう観念して払う気になったようです。おそらく銀行に行って実はまだお金あるんですみたいな
パターンを想定した僕は、バイクでついていくことにしました。
走る事、5分少々。銀行が見えてきました。 「ああ、ここでおろすのか」 と思いブレーキの準備
をしたのですが、何故かスルー。 ここではなかったようです。
別の銀行に行くのだと思ったのですが、その予想もあっさり覆り、次々と銀行をスルーしたのです。
「ヤバイな。もしかして人の少ない場所に行き、刺すつもりか?」
と危機を感じたのですが、流されるままの人生の僕はそれを象徴するかのように身をまかせました。
そして、とある駅の近くに着いた時、男はバイクを止め、僕の方に歩みよってきました。
僕 : 「どこ行くんですか?」
男 : 「お金おろします。ここからは歩いていきましょう。」
了承して歩くこと5分、男はある建物の前で立ち止まりました。
目の前には自動ドアがあり、中にはATMらしきものが。てっきり銀行だと思ったのですが
看板にはア○ムと書いてありました。(戦慄)
「ま、まさかお金がないからここで借りるのか?そこまでして払ってもらいたくないな・・・・。」
と思った僕は一言言って入店を止めたのですが、男は一言こういいました。
「いえ、慣れてるんで大丈夫です。」
(じゃあ、お言葉に甘えさせていただきます)
どうやら常連のようで、頻繁に借りているらしいのです。気は引けましたが、
ズボンのためを思えば仕方ありません。(自己正当化)
仕組みが気になった僕は、ATMのディスプレイを覗き込みました。
そこには、借り入れ可能残額 「4万円」 と出ていました。(相当借りてますね・・・・)
その金額を見るとかわいそうになってきたので、「もういいですよ。」 と止めたのですが
男は勢いがついているのか、「大丈夫です」 の一点張り。もはや誰にも止めれません。
程なくして僕は2万円を受け取り、何故かお礼を言って帰りました。
<帰宅後・・・・・・>
家に帰った僕は、母に先ほど男からもらったズボンを渡し、事情を話しました。
僕 : 「というわけやから、それほかしといて」
母 : 「何でやの?もったいないやんか。」
僕 : 「そのズボンは俺にははけん。ええからほかしといてんか。」
母 : 「ふーん。そやったらまたゴミに出しとくわ。」
というやりとりの後、家族全員がそろったところで夕飯を食べました。
数時間後、自室にいた僕が、そろそろ風呂にでも入ろうかと居間に戻ってきたとき、
すでに風呂上がりだった母が僕の視界に入ってきました。何か様子がおかしい・・・・。
そう思ってよくよく母を見てみると、なんと
先ほど捨ててくれといったばかりのズボンをはいているではありませんか!(妙に似合ってました)
あまりにもルンルン気分のご様子だったので、もはや何も言えませんでした。
そして僕は、母があのズボンを洗濯する時、密かにズボンを捨てる計画を企てるのでした。(しかし忘れる)
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